大阪日本橋にある高島屋東別館といえば、現在は百貨店としての営業はしていないのですが、その重厚な近代建築で存在感があります。
そんな貴重な近代建築が、外資のシンガポール不動産大手キャピタランドと高島屋が組んで、宿泊施設に改装されようとしています。
大阪は訪日外国人旅行者の増大で、ホテル建設が盛んに行われていますが、そんな状況に外資も黙って見ておけない状況なのでしょうか。
高島東別館が宿泊施設に再生へ
高島屋東別館は、大阪日本橋にある近代建築で、もともとは松坂屋大阪店の店舗として建てられたものです。
その後松坂屋大阪店は天満橋に移転し、高島屋東別館として利用されるわけですが、現在は百貨店の店舗としては営業せずに、事務所として利用しているという現状です。
高島屋東別館はこの建物。東京チカラめしの店舗がアンバランスなんですが(・.・;)
高島屋資料館の他は主に事務所として使用されている高島屋東別館は、天満橋に移転する前の松坂屋大阪店として建設された歴史的建築物です。この度宿泊施設も入った複合施設として活用されることになりました。東京チカラめしはそれまで残るのか!? pic.twitter.com/7tYxYtW2wX
— けんたろう (@ken_ta_rou) May 16, 2017
「高島屋」・「日本橋」というと重要文化財のこちらをイメージする人も多いでしょうが、大阪の東別館もなかなかの建築物です。
高島屋東別館は歴史的な建築物ですが、日本橋店のように国の重要文化財に指定されていません。
ただ、だからこそ比較的自由に建築物を利用できるという利点もあります。
百貨店として建設された歴史的な建築物が、シンガポールの不動産大手キャピタランドとともに、訪日外国人旅行者をターゲットにした宿泊施設に再生されるというのは、なんとも現代の日本を象徴している出来事かもしれません。
キャピタランド、持たざる経営で稼ぐ
シンガポール不動産大手、アパート・商業施設 受託運営
キャピタランドといえばアジア最大規模の不動産会社ですが、三菱地所がシンガポールの大規模再開発に参画するパートナーでもあります。
高島屋東別館は、主に訪日外国人旅行者をターゲットにしたキッチンなどが付帯するサービスレジデンスとして活用されることが検討されています。
サービスレジデンスとは?
「サービスレジデンス」は、まだ一般的には馴染みのない言葉で、どのようなものかイメージができないかもしれません。
サービスレジデンスとは、長期滞在に向いた宿泊施設ですが、端的にいうとウィクリーマンションの高級バージョンという感じです。
ホテルとの違いは、よりサービスレジデンスの方が住居に近いイメージです。
具体的には収納家具が備え付けていたり、キッチンや料理をするための調理器具や食器があったり、洗濯乾燥機が室内にあったりします。
このような生活に関わるものが部屋にあると、何だか生活臭を感じるかもしれませんが、サービスレジデンスはキッチンなどが付いた高級ホテルのスイートルームというイメージです。
ホテルのようなサービスも受けることができるので、暮らすように快適に滞在をすることができます。
最近は“暮らすように旅をする”というテーマを持って、滞在を楽しむ人達も多く、そのような旅のスタイルにマッチした宿泊施設ともいえます。
もちろん観光だけでなく、長期出張などビジネス用途として、サービスレジデンスを利用する場合もあるでしょう。
日本にあるサービスレジデンス
日本にはサービスレジデンスはまだまだ少ないですが、少ないながらもクオリティに高いサービスレジデンスはいつくかあります。
例えば大阪でいえば、インターコンチネンタルホテル大阪の29階~32階にある「レジデンシャルスイート」は、ホテルの一部にあるサービスレジデンスです。
インターコンチネンタルホテル大阪 レジデンシャルスイート
https://www.icosaka.com/stay/room/service/
高島屋東別館に近い難波には、大阪初のサービスレジデンスといわれる「フレイザーレジデンス南海大阪」もあります。
マスコミの露出度も高く有名なサービスレジデンスといえば、東京丸の内にある「アスコット丸の内東京」でしょうか。
高島屋東別館は「アスコットなんば大阪」に再生?
高島屋と共同で高島屋東別館を宿泊施設にと考えているのがシンガポールのキャピタランドです。
そのキャピタランドの完全子会社が「アスコット社」です。つまり、高島屋東別館のサービスレジデンスもキャピタランドの子会社のアスコット社が携わることが濃厚です。
では、高島屋東別館は「アスコット難波」や「アスコットなんば大阪」として生まれ変わるのでしょうか?
アスコット社のサービスレジデンスには、以下のように3つのブランドがあります。
- アスコット
- シタディーン
- サマセット
中でもアスコットは同社の最高級のサービスレジデンスになります。また、シタディーンは主に単身者や少人数のグループ、サマセットは家族をターゲットにしています。
大阪日本橋にある高島屋東別館がどのサービスレジデンスのブランドになるのかは不明ですが、歴史的建築物の趣を考えると、「アスコット」ブランドになるのもあるのかなという気はします。
キャピタランドが大阪の訪日外国人旅行者の需要をどのように捉えているかにもよりますが、京都や奈良、さらに和歌山また関西国際空港からも近い立地を考えると、そのポテンシャルは高いでしょう。