難波から心斎橋に渡る通称「ミナミ」といわれる周辺は、近年訪日外国人旅行者で溢れかえっています。
関西国際空港からアクセスが良く、なおかつグルメ、ショッピングなど外国人が喜びそうなものがたくさんあり、少しカオスな雰囲気もその人気を上げている要因でしょう。
ゲートウェイになる南海難波駅には、現在老朽化した南海会館ビルを建替え、南海駅のターミナルビルである「(仮称)新南海会館ビル」が建設されています。
新南海会館ビルの計画は、かなり訪日外国人旅行者を意識したものになっていますが、その中のひとつに先進・予防医療のためのメディカルセンターを誘致することがあります。
外国人が医療サービスを受けることを目的で海外へ訪れることを「メディカル・ツーリズム」と呼びますが、メディカル・ツーリズムはそれほど有望なのでしょうか?
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(仮称)新南海会館ビルにメディカル・ツーリズム拠点
(仮称)新南海会館ビルビルは、高さ約150mの南海電車難波駅のターミナルビルになります。
難波駅の周辺は、キタの梅田周辺とは異なり、超高層ビルはそれほどありません。
ミナミ一帯は巨大な繁華街を形成しているので、それ自体が魅力であり、なかなか再開発も難しいというのもあるのでしょう。
南海難波駅には、スイスホテル南海大阪やなんばパークスなどが超高層のビルがありますが、新たに150mの(仮称)新南海会館ビルができることで、より都会的な雰囲気になってきます。
(仮称)新南海会館ビルの計画地。南海難波駅のターミナルビルになります。御堂筋からも目立つ位置にあります。
出典 南海電気鉄道株式会社
完成イメージです。スイスホテル南海大阪、なんばパークスとほぼ同じような高さの超高層ビルになります。
出典 南海電気鉄道株式会社
現在の建設状況
(仮称)新南海会館ビルの7月9日現在の建設状況です。正面の近代建築は「南海ビルディング」です。
「南海ビルディング」は、南海難波駅のターミナルでもありますが、高島屋本店でもあります。
私鉄のターミナルデパートというと、自社系列の百貨店というのが定番ですが、南海は当初からテナントとして高島屋が入居しています。近代建築で外観は特に見ごたえがあります。
近代建築の百貨店といえば、
建築計画です。敷地面積が約34,000㎡ですが、ビルの建築面積3,800㎡とはかなりの差があります。もう少し高いビルでも良かったような。
完成イメージも掲示されています。施工は、大林組と竹中工務店、南海辰村建設の共同企業体です。
南側から。かなりの高さになっています。
南西側から。細長いビルなので1フロアの面積自体はさほど広くはなさそうなイメージです。
(仮称)新南海会館ビルのフロアプラン
(仮称)新南海会館ビルフロアプランです。13階から30階まではオフィスフロアになりますが、低層階は商業施設などが入る計画です。
出典 南海電気鉄道株式会社
ビルの低層階には、インバウンドを意識したものが目立つのですが、その中でも9階と地下2階に予定されるメディカルセンターが気になります。
インバウンドといえば、「爆買」をイメージする人も多いかもしれませんが、その目的や楽しみ方は多様化しています。
外国人が海外へ訪れる目的のひとつに健康・医療があります。
医療目的というと、医療費の高い先進国から医療費の安い国へ向かうケースがありますが、物価の高いイメージのある日本ではどうなのでしょうか?
日本のメディカル・ツーリズムの将来は?
インバウンド市場が湧いています。日本の中で圧倒的な伸び率を示している市場がインバウンド市場。
訪日外国人旅行者数は軽く2000万人を突破して、今年や来年中には3000万人を突破しようかという勢いです。
訪日外国人旅行者の目的も多様化しており、医療目的で日本を訪れる外国人にも政府や自治体などが期待を寄せいています。
日本の医療のレベルが高いのは理解できるのですが、「言葉の通じない日本でどうなの?」という印象を持つかもしれません。
言葉に関しては、外国語が堪能なスタッフを配置すれば、なんとかなると思います。ただ、医療費の高さもあり、そもそも需要があるのかどうかという問題も。
鍵はやはり中国人
インバウンド市場全体では、その成否の重要なポイントとして中国人観光客の動向があります。
とにかく人口が半端ないほど多いですから、ターゲットとして重要です。
また、単純に人口の多さだけでなく、中国の医療事情もあります。日本は現在、医師不足や看護師不足が問題となっていますが、中国は日本以上に病院自体が不足しているようです。
病院にダフ屋!?
ダフ屋というと、人気のコンサートやスポーツイベントなどで良くあらわれますが、中国では病院の診察でもダフ屋が横行するというニュース。
中国の病院 ダフ屋横行 医師不足 受診待ちで長蛇の列 整理券先取り 高値で売却
中国の医療インフラ、特に高度医療は、大都市に集中する傾向があります。そのため北京のような大都市の総合病院には全国から多くの人が訪れ事になります。
このような中国の状況から、潜在的には中国からのメディカル・ツーリズムの需要は潜在的にはかなりあると思われます。
実際に高度医療にかぎらず、予防医療として人間ドッグや健診に訪れる中国人は年々増えているような状況です。
また、中国では外資系医療機関もありますが、日本よりはるかに高い医療費が必要となってくるケースが多いのです。
そのため、中国に住む外国人が、近距離にある日本へ医療目的に訪れることも考えられます。
日本がメディカル・ツーリズムのしっかりとした基盤さえ整えれば、十分その市場は広がっているでしょう。
新南海会館ビルのメディカルセンターに、どのような医療機関が入居するかを注目したいと思います。