大阪中之島に再生医療の拠点を整備する計画が以前からありましたが、計画が少し具体的になってきました。
再生医療などのライフサイエンス分野は大阪の成長戦略を考えると最も重要なことだといえ、その拠点を中之島にもつくるという構想です。
中之島4丁目の大阪市が所有する7500㎡の土地が開発用地になるようですが、この辺りは以前から大阪市の新美術館建設の話しもありました。
京都大学や大阪大学など再生医療の分野で日本をリードをしていますし、製薬会社が多く集まる大阪ではライフサイエンス分野に投資することはとても重要です。
どのような施設にするかが、まだあまり明確ではありませんが再生医療の拠点として企業や研究施設、医療機関などを集積ささるとなると少し規模が小さいような気もするのですが。
インバウンドやIRだけでない大阪を支える核が必要
大阪といえば最近ではインバウンドの盛り上がりによって経済の活力が出てきています。またカジノを含む統合型リゾートの拠点としても最有力候補になっています。
インバウンドの盛り上がりは2018年になっても引き続き、大阪が全国よりも伸びている状況が空港の旅客数にも現れています。
関西エアポートが発表した1月の利用実績(速報値)によると、関西空港の総旅客数は前年同月比9%増の239万7215人となった。国際線旅客数は12%増の186万4892人となり、このうち外国人旅客数は13%増の127万6730人、日本人旅客数は9%増の56万9030人。
— 航空新聞社WING (@wingnews) February 27, 2018
国際線では関西空港が外国人旅客数が前年比13%増。成田空港が5.4%増、中部空港が6.7%減と比べてもその勢いの差は歴然です。
カジノIRに関しても、カジノ大手のトップが何度も大阪を訪れるほどで、実現すれば夢洲を拠点に相当大きな統合型リゾートができる予定です。
さらに最近ではG20サミットの会場となったり、万博誘致も本命と目されていたフランスの立候補辞退によって招致活動もさらに力が入っているような状況です。
このようなニュースを見ると、インバウンドに関連することが最も大阪の将来にとって重要なイメージを持つかもしれません。
インバウンドを関連は大阪や日本を牽引する産業になるのは間違いないのでしょうが、それと同時に世界をリードするような核となる産業も必要です。
かつての家電や自動車などがそうですが、世界をリードするような産業を持っているからこそ高い国際競争力を維持できるともいえます。
ITや金融では完全に落ち目となった日本ですが、その分野をリードするアメリカや中国の強い国際競争力を見ると核となる産業の必要性を感じます。
また都市力に関しても、シリコンバレーのようにIT企業の集積によってカルフォルニア州サンノゼが全米でも有数の裕福な都市となっているのでもわかります。
ライフサイエンス分野の可能性
大阪の核となる産業となると、かつての繊維や家電に関しての将来性はちょっと厳しそうです。
再生医療では日本は世界に先行していることや、京都大学の山中教授を代表するような有能な研究者も多く集まっています。
東京一極集中が進む中、大阪を拠点とする製薬会社も多く残っており、ライフサイエンス分野は大阪が核とすべき産業ですし、日本が最も力を入れるべき分野ともいえます。
中之島の再生医療の拠点の規模
大阪府・市や関西財界が中之島に再生医療の拠点を整備する計画が少し具体的になってきたわけですが、その規模はどの程度のものなのでしょうか?
大阪・中之島に再生医療の新たな拠点が2021年度にも整備されます。産学が連携し、治療法や製品・サービスの実用化を目指します。https://t.co/HLXBuQKNSO pic.twitter.com/YV7ZoY8NsH
— 日経関西 (@nikkeikansai) February 26, 2018
日本経済新聞の記事によると、その規模は大阪市の市有地7500㎡に
- 臨床研究病床を持つ病院などが入るメディカル棟(延べ床面積2万平方メートル)
- 製薬や医療機器関連の企業などが入る研究開発棟(同3万平方メートル)
を建設するという計画です。こちらの産経新聞の記事の図がよりイメージがつきやすいでしょう。
[産経]大阪・中之島の未来医療国際拠点 基本計画案を大筋で了承 https://t.co/w7erQjHlhD 大阪市中心部の中之島地区で再生医療など最先端医療の実用化・産業化の推進を目指す「未来医療国際拠点」構想について、大阪府と大阪市は26日、施設構成や運営の枠組みを定めた基本計画案をまとめた。4月… pic.twitter.com/xoKIp5HwtP
— 5newspaper (@_5newspaper) February 26, 2018
メディカル棟が高さ60~80m、研究開発棟が100m~120mぐらいの規模になるのでしょうか。
ただ、どのようなものになるかがはっきりしないですが、クラスターと考えれば再生医療の拠点してかなり規模が小さいような気もします。
周辺の開発も期待
中之島の大阪市の市有地となると、大阪市の新美術館の計画はなくなったの?
と思う人もいるかもしれませんが、新美術館と別の敷地で再生医療の拠点を整備することになっています。
こちらが施設のイメージです。敷地は以前シルク・ドゥ・ソレイユの期間限定のイベントなどが行われたエリアで現在は駐車場として活用されている辺りです。
出典 大阪市
開発事業者に土地を安価で賃借し、開発事業者は「未来医療推進機構(仮称)」に施設を貸し出します。
機構は入居企業などかの賃料を産学連携の仲介や海外医療機関との連携、研究支援に充てつつ、賃料を払うスキームを想定しています。
再生医療の拠点自体も気になるのですが、基本方針案の中にはこのような記載があります。
隣接する民間所有地については、国内外からの研究者・企業等関係者向けの滞在施設や利便施設など、市有地と一体となった開発への協力を求めていく
中之島4丁目には京阪が外資系ホテルを誘致して複合超高層ビルを建設する構想もありましたが、そろそろその計画も動き出すのかもしれません。
なにわ筋を挟んでは、大阪市立扇町高校の跡地や暫定的に駐車場として利用されている用地もあります。
その他にも少し古めのルイシャトレ中之島や老朽化したNTTコミュニケーションズ中之島ビルなどももしかして再開発のために取り壊されるなんてこともあるかもしれません。
最近大阪では、タワーマンションかインバウンド需要のためのホテル建設が目立ちます。
この中之島のタワーマンションやN4タワーもそうですが、中之島でさえマンション建設が優先しがちです。
中之島の再生医療の拠点を核として、周辺の土地もビジネスゾーンとして再開発され発展をして欲しいところです。