シェアリングエコノミー(シェア経済)が世界中で浸透してきています。
シェアリングエコノミーは特にアメリカなどで先行してビジネス化されていますが、日本への浸透はイマイチな状況です。
そんな遅れがちな状況を政府も問題視し、シェアリングエコノミーを推進するモデル都市を選定し、全国へ普及させようという動きが出てきています。
シェアリングエコノミーは低迷する日本経済の起爆剤になるとも考えられていたり、日本の生活に大きな変革をもたらす可能性があります。
普及が遅れがちな日本のシェアリングエコノミーですが、その遅れを取り戻すことはできるのでしょうか?
Contents
政府がシェア経済のモデル都市を選定へ
シェアリングエコノミー(シェア経済)とは、英語のshare(分け合う)とecnomy(経済)から派生する言葉です。
個人などの余剰な時間や物を共有や交換することをビジネスにするなどの社会的な仕組みです。
シェアリングエコノミーで最近話題となっている代表的なものとして「民泊」や「シェアサイクル」があります。
国内のシェアリングエコノミーは地域によって、その普及の度合が大きく異なります。
そこで政府は今年度中に30の自治体をシェアリングエコノミーモデル都市として選定。
選定された自治体の先行事例を紹介して、シェア経済の普及が遅れている地域への導入を推進する考えです。
政府、シェア経済のモデル都市選定 今年度 30自治体
モデル都市選定の基準は明らかではありませんが、すでに先行してシェア経済を進めている自治体や事案を元に決められるでしょう。
例えば日本経済新聞の記事では、北海道の天塩町と稚内を結ぶ「相乗り交通事業」や徳島市の阿波踊り期間中などの「イベント民泊」を紹介しています。
天塩町と稚内を結ぶ「相乗り交通事業」
天塩町と稚内を結ぶ「相乗り交通事業」は、北海道天塩町と株式会社nottecoの共同企画です。
国内最大のライドシェア会社と財政上の問題などで公共交通機関の確保が難しい自治体が協力した事例です。
天塩-稚内間
相乗り交通事業とは?
ライドシェア「notteco」は、自家用車の長距離相乗りサービスで、金銭的には高速料金やガソリン代を割り勘にするメリットがあります。
また、同乗者同士のコミュニケーションを深めることで、楽しいひと時を過ごしたり、情報を共有するようなメリットもあります。
自家用車の相乗りを進めることで、天塩町のように移動の問題を抱える自治体の新たな交通手段としても期待されています。
徳島市の阿波おどりイベント民泊
徳島市で開催される阿波踊りは毎年多くの人が訪れる人気のお祭りです。
最近では日本人だけでなく、外国人もたくさん訪れるようになり、阿波踊り期間中徳島市のホテルの確保は難しくなります。
ホテルの建設はある程度通年の需要が見込まれることが必要です。そのため、多くの観光客が訪れる阿波踊り期間中の宿泊数に対応すると、普段は供給過剰になります。
イベント期間中だけ、個人の住宅を民泊として利用すれば、民泊で家をシェアする人は臨時の収入を得たり、観光客との触れ合うメリットもあります。
今年の阿波踊りのイベント民泊は270人以上が宿泊し好評だったようです。
徳島市初の阿波おどりイベント民泊は大好評。延べ270人以上が宿泊
「もったいない」精神の日本はシェア経済にマッチ?
日本人の「もったいない」という精神が世界で注目されているといわれています。
日本の伝統では、まだ古くなった使える物を大切にし、新たに価値を見出し大切にするような文化がありました。
ただ最近では生活様式の欧米化によって、「もったいない」精神もかなり薄れてきてはいます。
しかしそれでも、古くなった着物をリサイクルして洋服にしたり、着ることのない服を雑巾にしたりと、まだまだその精神は消えてはいません。
「もったいない」精神のある日本なら、シェアリングエコノミーは今あるものを有効活用することなので受け入れやすい感じもするのですが、シェア経済の普及は海外と比べると遅れがちです。
日本のシェア経済の普及が遅れているのは?
一見日本社会に根付きそうなシェアリングエコノミーですが、まだまだ海外と比べて普及が遅れているのはなぜなのでしょうか?
こちらの記事ではそのヒントがあげられています。
シェアリングエコノミーが日本で“浸透しにくい”理由、大企業が戦略的に活用する方法
記事では書籍「シェアリングエコノミー」の著者でシェアリングエコノミー研究の第一人者アルン・スンドララジャン氏(ニューヨーク大学経営大学院教授)のインタビューでその問題点を指摘されています。
アルン・スンドララジャン氏は、日本でシェア経済の普及が遅れている原因を次のように指摘しています。
- 日本は成熟社会なのでアジア諸国と比べると変化のスピードが遅い
- 起業家精神の少なさ
新しい技術やビジネスでも周辺のアジア諸国は日本よりいち早く取り入れるスピードの早さがあります。
また同じように成熟社会のアメリカでシェア経済の普及が進んでいるのは、旺盛な起業家精神よるものが大きいと指摘しています。
その他にも日本では種々の規制が足かせになったり、IT化の遅れや新しいものへの偏見なども影響しているのかもしれません。
政府の試みがシェア経済の普及にそれほど効果があるかかどうかは少し疑問ですが、いろんな事例をクローズアップされるのは良い機会です。
一度普及すれば、ダムが決壊したように一気に浸透する日本ですので、シェア経済の遅れもこれから海外に追いつき追い越すかもしれません。