ハイパーループは、時速1000km以上の速度で走る超高速の次世代交通システムです。
ハイパーループとは、アメリカの実業家イーロン・マスクが2012年に提唱し、空気を抜いて真空に近い状態にしたチューブ状の線路の中を超高速で疾走する未来の交通手段です。
リニアの倍ぐらいの速度で走ることができるため、実用化されれば都市間交通を一変させる可能性を秘めています。
ハイパーループは、Hyperloop Transportation Technologies(HTT)とHyperloop One(ハイパーループワン)の2社が開発を競い合っています。
今回ハイパーループワンが建設候補地10ヶ所を発表し、将来の実用化に向けて注目をされています。
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ハイパーループワンが発表した建設候補地
ハイパーループの開発を行う「ハイパーループワン」が、このほど将来の5カ国10ヶ所の建設候補地を発表しています。
Hyperloop Oneが超高速次世代交通システム「ハイパーループ」の建設候補地10カ所を発表、2021年までに一部ルートの実現を目指す
こちらがその建設候補の分布です。
アメリカで開発をされているだけあって、ルートの多くは北米ですが、UKやインドも選定されていてワールドワイド。
また、北米もアメリカだけでなくカナダやメキシコ、それも大都市圏を走る可能性もあり、実現すればその効果は絶大です。
候補地を順番に見ていきます。
アメリカ
アメリカからは開発を主導する国だけあって、4ヶ所が候補地に上がっています。
シャイアン~デンバー~プエブロ
出典 Hyperloop Could Transform The Economy of Colorado’s Front Range
計画ルートの詳細
- デンバー~グリーリー:64km・6分
- デンバー~フォートコリンズ:129km・9分
- デンバー~ベール:121km・9分
- デンバー~コロラドスプリングス:118km・9分
- コロラドスプリングス~プエブロ:65km・6分
- 総延長距離:580 km
コロラド州というと、日本人の間隔では山間部の田舎をイメージするかもしれませんが、人口が増加傾向で先端産業の発展も見られます。
ハイパールーフが実現すれば、観光産業が相当うるおいそうなルートです、世界最大のハブ空港もデンバーにあります。
アメリカや世界が一気に狭くなる感じですね。
ダラス~ラレド~ヒューストン
出典 Texas Hyperloop Could Transform Lone Star State Into Global Megaregion
計画ルートの詳細
- ダラス~ヒューストン:789km・46分
- ダラス~オースチン:322km・19分
- オースチン~サンアントニオ:121km・8分
- サンアントニオ~ヒューストン:346km・21分
- ラレド~サンアントニオ:242km・16分
- 総延長距離:1030 km
ダラスといえばケネディ元アメリカ大統領が暗殺された場所でも有名です。テキサス州の都市部を結ぶ路線で渋滞緩和にも役立ちそうです。
ダラス・フォートワース空港にも乗入れる計画も見えますので、実現すればその経済効果は高そうです。
マイアミ~オーランド
出典 Connecting Orlando with Miami Beach
計画ルートの詳細
マイアミ~オーランド:414km・25分
マイアミやオーランドはリゾート地として有名です。両都市間は飛行機の移動が主な手段になり、車だと4時間程度かかります。それがたった25分ですから、すごいです。
シカゴ~コロンバス~ピッツバーグ
出典 States Across The Midwest Support a Hyperloop From Pittsburgh To Chicago
計画ルートの詳細
- シカゴ~ピッツバーグ:785km・47分
- シカゴ~コロンバス:493km・29分
- コロンバス~ピッツバーグ:292km・18分
シカゴからピッツバーグまで4つの州をまたぐルートになります。アメリカ中西部の人やモノを運ぶルートに活躍しそうです。
現在これらの都市間に空路がありませんでの、完成するとその効果は巨大です。
シカゴにもオヘア空港という巨大ハブ空港がありますので、実現すればハブ空港との相乗効果が高そうです。
カナダ・メキシコ
アメリカの隣国カナダやメキシコでも大都市圏が候補地になっています。
トロント~モントリオール
出典 Connecting 25% of Canada’s Population with Hyperloop
計画ルートの詳細
- トロント~モントリオール:640km・39分
- トロント~オタワ:450 km・27分
- オタワ~モントリオール:190km・12分
カナダの有力都市を結ぶルートで、カナダ政府もハイパールーフ構想に相当積極的な姿勢を見せています。
カナダの人口の25%を結ぶ路線が実現されれば、さらに巨大な都市圏が誕生しそうです。
メキシコシティ~グアダラハラ
出典 How Hyperloop Could Transform Mexico’s Megaregion
計画ルートの詳細
- メキシコシティ~グアダラハラ:532km・38分
- メキシコシティ~ケレタロ:190km・13分
- ケレタロ~レオン:184km・12分
- レオン~グアダラハラ:205km・13分
メキシコでは首都メキシコシティと第2の都市グアダラハラを結ぶルート。観光でもビジネスでも活躍しそうなルートです。
イギリス
イギリスでは2ルートが選ばれていますが、実現すればイギリスの移動時間が劇的に変わりそうです。
エディンバラ~ロンドン
出典 Three Hyperloop Routes That Would Transform The UK Economy
計画ルートの詳細
- エディンバラ~ロンドン:666km・50分
- エディンバラ~マンチェスター:330km・24分
- マンチェスター~バーミンガム:143km・12分
- バーミンガム~ロンドン:193km・14分
イングランドの首都ロンドンとスコットランドの首都エディンバラを結ぶルートです。東京~大阪間よりも長い距離のルートです。
現在この区間は鉄道で4~5時間ということもあり、空路を利用する人が多いですが、ハイパールーフならたった50分。
イギリスの主要都市をかなり網羅し、ハイパールーフが実現すればイギリスのビジネスや旅行で革命が起こりそうです。
グラスゴー~リヴァプール
出典 Three Hyperloop Routes That Would Transform The UK Economy
計画ルートの詳細
- グラスゴー~リヴァプール:545km・47分
- グラスゴー~エディンバラ:68km・7分
- エディンバラ~ニューカッスル・アポン・タイン:193km・14分
- ニューカッスル・アポン・タイン~リーズ:158km・13分
- リーズ~マンチェスター^71km・7分
- マンチェスター~リヴァプール:55km・6分
スコットランド最大の都市グラスゴーとイングランド北西部の代表都市リヴァプールを結ぶルートです。
エディンバラとマンチャスターは上記ルートと重複するのですが、毎日通勤もできそうな商用時間になります。
インド
インドはまだ高速鉄道の整備もこれからという時代に、先行してハイパールーフが実現するようなことがあるのでしょうか?
インドでは経済発展が著しい都市間でのルートが選ばれています。
バンガロール~チェンナイ
出典 GIGAZINE
計画ルートの詳細
- バンガロール~チェンナイ:334km・23分
- バンガロール~チットゥール:178km・12分
- チットゥール~チェンナイ:156km・11分
バンガロールとチェンナイというインドでも最も経済発展が著しい都市間のルートです。
人口が多く移動に体力も時間も費やすインドであるだけに、ハイパールーフが実現すれば、たった23分で結ぶので本当に楽になりそうです。
ムンバイ~チェンナイ
出典 GIGAZINE
計画ルートの詳細
- ムンバイ~チェンナイ:1102km・63分
- ムンバイ~バンガロール:817km・47分
- バンガロール~チェンナイ:285km・18分
チェンナイからバンガロールまでから、さらに大陸を横断しインド東海岸のムンバイを結ぶルートです。
その総距離はなんと1102km! 東京~博多にも匹敵するような距離です。この距離を約1時間で結ぶのですから、量産化などされれば空路はどうなるんでしょう?
次世代交通システムハイパールーフの実現は、様々な障害があり今後どうなるかは未知数です。
計画では、このルートの中のいくつかで2021年にも建設する意向で、今後の動向が注目されます。