ターミナル駅で多くの人が行き交う池袋駅周辺では盛んに再開発が行われています。
西武ホールディングスも西武鉄道池袋旧本社ビルを建替え、「西武鉄道池袋ビル」を建設中です。その工事現場の様子を見てきたのですが、西武百貨店が郊外店舗を閉鎖するニュースが流れてきました。
西武百貨店はセゾングループの中核会社で、西武ホールディングスのグループ会社ではありません。
ただ、元々は創業者一族の西武鉄道グループが前身で、その後分裂をした関連の深い会社。
西武ホールディングスも拠点駅となる池袋周辺に資金を集中して投資を行っていますが、百貨店でも西武百貨店池袋本店のような旗艦店に資源を集中する動きが見られるようになってきました。
再開発が盛んに行われ、ますます華やかになっていくターミナル駅。逆に郊外は店舗閉鎖などによって寂れた状態になっていくのでしょうか?
「西武鉄道池袋ビル」の工事の様子
現在池袋では、西武鉄道池袋旧本社ビルを建替えて、「西武鉄道池袋ビル」の建設工事が進められています。
都市生活ラボでもすでにその様子はご紹介をしました。
前回の取材からは3ヶ月ほどが経ちますが、工事がかなり進んでいました。
西側の様子。どんどん高さが積み上げれられています。
工事現場に近づいてみるとかなりの迫力があります。完成イメージを見ても分かる通り、高さはさほどではないものの床面積が広くどっしりしたビル。
線路の上空が、前回と比べてもどんどん覆われてきています。
北西側の様子です。
「西武鉄道池袋ビル」は、ビックリガードのさらに南になり、池袋ではあまり人の行き来が少ない場所です。
ただ、前回の記事でも紹介をしているように豊島区が計画する「池袋駅東西連絡通路(東西デッキ)整備基本構想」によってデッキレベルで西武百貨店に行き来しやすくなります。
デッキ完成後は人の流れが変わる可能性があり、ますます池袋駅周辺の街が肥大化し、それとともに各商業施設も集客力を増す可能性があります。
逆に郊外ではこんなニュースも。
百貨店郊外店舗閉鎖のニュース
百貨店各社では近年になって、郊外店舗や地方都市の店舗を閉鎖し、逆に都心部の便利な旗艦店を改装や増床するなど資源を集中する動きが見られます。
かつては西武鉄道と同じグループ会社であった西武百貨店も郊外店舗の閉鎖の流れが止まらないような状況になっています。
関西では西武高槻店などを阪急百貨店などを運営するH2Oリテイリングに売却。
阪急阪神が運営する「そごう神戸」「西武高槻」…H2O・セブン資本業務提携を具体化、次は
西武高槻店は郊外店でしかも松坂屋との競合もあるので、収益性が厳しいのはわかります。ただ、そごう神戸店は神戸三ノ宮駅前の旗艦店に近い店舗。
関西では梅田や難波などの百貨店に投資や集客も集中するような傾向になっています。
7月の百貨店売上高では神戸地区が前年比8.1%減と全国最大の減少率、京都も5.2%減という数字なのに、大阪地区は全国唯一のプラスで前年比2.1%増。
このような数字になるのはいろんな要素があるでしょうが、大阪地区の旗艦店の増床や改装の効果、さらに訪日外国人旅行者の免税店の売上の差が大きいでしょう。
百貨店も含めた商業施設の地域一番店などの競争力の高い店舗に、売上が集中する傾向が出てきています。
一方首都圏では、西武船橋店や小田原店の閉鎖が発表されています。
「西武」船橋店・小田原店閉鎖へ 基幹店に経営資源集中
ただ、百貨店自体に以前のような“流通小売の王様”という状況ではなくなったという考え方もあり、百貨店自体に集客力が小さくなってしまったともいえます。
百貨店が以前のような力がないとしても、池袋のような都心部に再開発が進み、新たな商業施設が誕生しようとしています。
そうなると、流行に敏感な消費者はどうしても郊外ではなく都心部へ流れそう。
西武船橋店の跡地は複合商業施設をつくることを検討しているようですが、郊外では大型ショッピングセンターが集客力があり苦戦は避けられません。
例えば船橋でしたら、ららぽーとやIKEAという強力なライバルの存在があるので、多くの人を集客するのは簡単ではありません。
規制緩和や人口の都心回避などを背景に都心部の再開発が盛んに行われ、今後新しい商業施設がどんどんと誕生することになります。
まさに流通業は戦国時代のように、さらに競争の厳しさを増しそうです。
新しい商業施設の登場でますます厳しくなる小売業の競争。百貨店の郊外店の撤退のニュースと池袋の再開発現場を見ながら今後どうなっていくのかを考えさせられました。