ユネスコの世界遺産委員会が、オーストリアの首都ウィーンの歴史地区を「危機遺産」に指定しました。

 

危機遺産とは、「危機にさらされている世界遺産」のことで、特に緊急に保護が必要なものとして、ユネスコの世界遺産委員会が指定したものです。

 

危機となっている原因が除去されれば、危機遺産リストから除外されます。逆に危機にさらされて、世界遺産の価値が失われたと判断されれば、最悪世界遺産の取り消しもありえます。

 

ウィーン歴史地区の場合、43mの高さ制限を超えて、高層建築物の建設計画が持ち上がっているため、ユネスコが改善を求めています。

 

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世界遺産「ウィーン歴史地区」

 

ウィーンといえば、ヨーロッパの歴史ある街の代名詞のような所ですが、街全体がまるで博物館のような美しさです。

 

また「音楽の都」としても名高く、絵画など美術品も豊富で、芸術を存分に楽しめる街でもあります。

 

ちなみにオーストリアの首都のこの街をを日本語では、「ウィーン」と呼びますが、英語では「Vienna(ヴィエナ)」と発音します。

 

海外でウィーンというと、通じない場合があるので注意が必要です。

 

ウィーン歴史地区には様々な見どころがありますが、以下がその代表的な場所です。

 

環状道路「リンク・シュトラーセ」

 

都市生活ナビが一番注目するのは、この「リンク・シュトラーセ」。

 

19世紀に、ハプスブルク家最後の皇帝であるフランツ・ヨーゼフ1世が内側の城壁を取り払って、環状道路を設置。その環状道路が「リンク・シュトラーセ」です。

 

日本で環状道路といえば、少しもめていますがこれを思い出しました。歴史の違いに少し格の違いを感じてしまいます。

晴海の環状2号線の様子を見て 築地市場移転の遅れで整備がどうなるか気になった

 

世界遺産「ウィーン歴史地区」は、この「リンク・シュトラーセ」の内側になります。

 

こちらの動画では、「リンク・シュトラーセ」を自転車でめぐった様子を見ることができます。美しい街並みと整備された自転車道や車や公共交通機関の住み分けを見ることができます。


 

様々な様式の建築物と高さ制限

 

その他にもバロック様式の「ベルヴェデーレ宮殿」、ゴシック様式の「聖シュテファン大聖堂」、ネオ・ルネサンス様式の「ウィーン国立歌劇場」など見事な建築物で構成されるのがウィーン歴史地区です。

 

動画を見て思うのですが、建築物の高さが揃った街並みはとてもきれいです。ユネスコはこの歴史地区の高さを43mまでとする制限を設けています。

 

大阪の御堂筋も、ヨーロッパの町並みを模範にして、高さ制限を設定して美しい景観を維持してきたのですが、近年は土地の有効利用という理由でなし崩し的に規制が崩壊しているような状況です。

 

三菱東京UFJ銀行大阪ビル建替の建設状況 御堂筋の高さ規制緩和とは?

 

個人的には、御堂筋の高さ制限は維持しつつ、梅田や中之島、なんば駅周辺、天王寺駅周辺を高密度で高層化したり、御堂筋沿いではなく、堺筋や四ツ橋筋の間を高密度で高層化できないものかと思います。

 

企業が保有する財産である土地の所有者がバラバラなので、なかなか上手くいかないでしょうが(^_^;)

 

日本の比ではなく厳しい高さ制限を設けるウィーン歴史地区ですが、そこにも開発の波が押し寄せいています。

 

高層建築物の計画が持ち上がり、そのことで世界遺産の価値が損なわれると、世界遺産委員会から危機遺産の指定を受けることになりました。

 

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世界遺産と高層建築物の開発

 

実は世界遺産が周辺の高層建築物建設計画によって危機遺産に指定されるのは、ウィーン歴史地区が初めてではありません。

 

オーストリアのお隣ドイツの世界遺産ケルン大聖堂も、周辺に超高層建築物の開発を進めようとされているため、2004年に危機遺産に登録をされています。

 

ケルン大聖堂は、その後景観論争が巻きおこり、世界遺産取り消しの影響を深刻ととらえ、超高層建築物の開発計画の見直しが行われました。

 

その結果、2006年に危機遺産の登録が取り消され、世界遺産の貴重な景観を守ることができました。

 

ウィーン歴史地区は、ケルン大聖堂よりも、世界遺産取り消しの影響が大きいように感じるのでしすが、今後どのように対応するのかが注目されます。

 

日本でも起こる世界遺産の景観問題

 

日本の世界遺産で、危機遺産に指定されたものは今までありませんが、世界遺産をめぐる景観問題はたびたび起こっています。

 

例えばかつて広島の原爆ドームでも、周辺に高層マンションの建設計画が持ち上がりました。その時、原爆ドーム周辺に建物の高さ規制を設けるかどうか論争が起こっています。

 

結局はマンションは建設され、髙かさ規制を設けることも当面見送りになったようですが、世界遺産を守ることと、個人の財産権を守ることのどちらを重視するかが問われました。

 

また、京都の下賀茂神社でも周辺住民がマンション建設中止を求めて裁判を起こしていますが、住民側敗訴という判決を京都地裁は下しています。

 

地元住民の訴えを却下 下鴨神社マンション訴訟

産経WEST

 

行政や司法の判断はちょっと今後の世界遺産の保護を考えると、ちょっと心配な点もあります。

 

世界遺産の場合、「登録取り消し」という開発を踏みとどませる大きな防波堤がありますから、まだ歯止めがききそうです。

 

しかし、公の機関の“お墨付き”がなければ、どんどんと貴重なものが日本で失われていくのではという危惧を感じます。