札幌の歓楽街からも歩いていけるほどの距離に、緑豊かな中島公園があります。
中島公園は23.6ヘクタールという広さの都市公園ですが、公園内には美しい西洋建築の豊平館(ほうへいかん)があります。
この豊平館ですが、もともとこの場所にあったわけではなく、札幌の市内の中心から移築され、この場所で保存されています。
2016年には耐震補強工事も完了し、今後は集客交流施設として活用されていくことになっています。
豊平館は現在は国の重要文化財にも指定されていて大切に保存されていますが、重文や登録文化財でないけれでも、貴重な建築物はたくさんあります。
そんな貴重な建物ですが、保存か解体をするかで揺れているものもたくさんあるのです。
豊平館は移築・保存で再生
豊平館は現在の中島公園内ではなく、元々は北1条西1丁目に洋風ホテルとして1880年に建造されました。
当時の最初の利用者は明治天皇で、その後は国内外から多くの貴賓として利用されてきました。
北1条西1丁目といえば、北海道開拓にとっては重要な意味のある場所であり、現在はこんな再開発も行われていますね。
豊平館はその後1958年に中島公園に移設され、2012年から耐震補強のための保存工事を行い2016年に工事は完了し現在に至ります。
とても素敵な西洋建築です。
訪れた時は夕方遅い時間でしたので、残念ながら中へ入ることはできませんでした。一般観覧は午前9時から午後5時までです。
中島公園もきれいに整備されて、とても気持ちの良い公園です。
かつてはホテルだったというこですが、こんなホテルで泊まってみたいですね。
保存か解体かで揺れる建築物
長年多くの人に親しまれ、移設をして保存・再生するのか、はたまたそのまま解体されるのかの間にある建物もあります。
例えばこの駅舎もその行方は注目されていますが、今のところ今後の予定ははっきりと決まっていません。
ただ保存するといっても、なかなか簡単にはいきません。なぜなら、保存するためにはけっして安くない維持費が毎年必要になるからです。
JR原宿駅の場合民間企業がその費用を負担するには、自ずと営利を目的企業としての制約もでてきます。
また、自治体が管理にしても、現在は多くの自治体が財政難の状態ですから、建築物の保存をする余裕もない所もあるでしょう。
また、保存するのか解体するのかは、市民の間でも意見がわかれがちです。
問題の多い建築物の保存ですが、NHKの「クローズアップ現代」でも、昨年特集が組まれました。
我が町のレガシー?お荷物?~モダニズム建築 騒動記~
番組の中で紹介された例として、銀座にある「中銀カプセルタワービル」。デザインは丹下健三氏ということもありとても話題になっています。
とてもユニークなデザインで日本人だけでなく、外国人にも注目をされているようです。
〜おまけ〜
前から気になってた中銀カプセルタワーを見てきた。
近くで見るとネットが張ってあるのね。
こういう建築が壊されず残されていることは非常に嬉しい。#中銀カプセルタワー #ふぉと #iPhone7 #写真好きな人と繋がりがたい #いいねした人フォローする pic.twitter.com/e0Q3wRGgEI— ピノ@ぴーぴー (@taithi_3657) September 10, 2017
ただ現在の耐震基準に適合していなくて、取り壊しをするのか保存をするのかで揺れています。
崩落の危険性も指摘されていますので、オーナーとしても難しい選択のようです。
外観もユニークなのですが、部屋の内部もこのような斬新さ。
InRed10月号にスタジオカプセルが使用されました。JOURNAL STANDARDの服とカプセルのレトロ感がマッチしています。#中銀カプセル #JOURNALSTADARD pic.twitter.com/AKimyQhl4g
— 中銀カプセルタワービル保存・再生PJ (@nakagincapsule) September 7, 2017
番組の中では、モダニズム建築としてすでに解体をされた「学習院大学ピラミッド校舎」、「青年の塔」、「エキスポタワー」、「呉市民会館」、「西条市立体育館」などが紹介されています。
解体をしてしまってから、後でその文化的な価値を再認識しても、時すでに遅しということになってしまいます。
一方解体を免れ再生した例もあります。
貴重な建築物の保存再生
クローズアップ現代の特集でも紹介された愛媛県鬼北町庁舎は、取り壊しが迫った状況でなんとかコスト削減の工夫をして、保存された例もあります。
新装 鬼北町庁舎お披露目(愛媛新聞ONLINE) https://t.co/yNofqXStcg pic.twitter.com/hQ13rjeqRn
— 姫鯛 (@ehimemadai) February 22, 2016
鳥取県倉吉市の旧明倫小学校の円形校舎も関係者の努力によって、フィギュアミュージアムとして活用されることになりました。
☆倉吉市の円形校舎(旧明倫小学校)をフィギュアミュージアムとして活用するため、本日 起工式が行われました。来年4月のオープンを目指し、工事が開始されます。
※映像内の当店代表 田栗を発見したら、明日 唐揚げを1個サービスします☆https://t.co/IetSkA9wIs— TSUDOI〜集〜 (@Tsudoi51) September 7, 2017
都市生活ラボでは、かつての刑務所をホテルとして活用する例も紹介しました。
現在は訪日外国人旅行者の増大で、全国の多くの街を訪れるようになっています。
日本人では日頃気づかないものに、外国人に惹かれるものがあります。
保存・再生によっては新たな価値を生み出すものもでてきており、今後の近代建築やモダニズム建築のあり方に影響を与えそうです。