以前は厳しい業績だった百貨店業界が、最近は息を吹き返しています。
その主たる原因は、訪日外国人旅行客や富裕層などの購買力の高さによるところが大きいです。
そしてその恩恵を受けるのは、立地の良さや魅力あるブランドやテナントが集まる便利な都心百貨店です。
逆に郊外店は、苦戦してる店舗が多く続々と閉店へと追いやられているのが現状。
そして、今月末にも伊勢丹相模原店(神奈川県)と同府中店(東京都)が営業を終了することになります。
伊勢丹の郊外店が相次いで閉店へ
伊勢丹の相模原店と府中店が今月9月30日をもって閉店となります。
【コラム】郊外百貨店「団塊世代と共に去りぬ」 9月30日で伊勢丹相模原店・府中店が閉店https://t.co/4hD78wLQSc pic.twitter.com/ekE3dcowuM
— WWD JAPAN (@wwd_jp) September 24, 2019
三越伊勢丹というと、ブランド力のある百貨店というイメージが以前は強かったですが、最近は完全に低迷。
郊外店ですが相次いで閉店することになり、三越伊勢丹の低迷ぶりを象徴しているような事実です。
二桁の閉店は9年ぶりで今年は閉店ラッシュ
伊勢丹の郊外店だけでなく2019年度の百貨店の閉店は10店を超す見込みです。
百貨店の閉鎖、全国10店超 人口減、郊外大型店と競争激化 https://t.co/LJY0UeRadW @SankeiBiz_jpより
— 植田勝海/ RENOLAZE 不動産屋 (@RenolazeUeda) August 26, 2019
閉店が二桁になるのは9年ぶりのことで、前回がリーマン・ショック後の消費不況の影響が大きかった時代です。
リーマン・ショック時と同じ水準の閉店数になるわけですから、深刻な数字ですが閉店店舗は特徴的です。
ヤナゲン大垣本店(岐阜県大垣市)、山交百貨店(甲府市)といった地場百貨店や伊勢丹の郊外店など都心店以外のお店という感じ。
リーマン・ショック後の際は、西武有楽町店(東京)も閉店に追い込まれ都心のお店もあったのとはやや異なります。
百貨店不振の原因
バブル経済が崩壊する前の1990年頃は、10兆円近くの売上高と小売業業全体で6%のシェアを誇っていた百貨店業界。
それが今では6兆円を割り込むような数字になってきており、小売業全体でのシェアも落ち、存在感が小さくなっています。
なぜこれほどまでに百貨店の売上は下がってしまったのでしょうか?
衣料品の不振が大きい
百貨店の不振の理由は様々ですが、中でも衣料品の不振は大きな理由です。
百貨店の売上の中で衣料品が占める割合は、約3割と非常に大きいです。そして、その衣料品が売れていないのです。
たしかに訪日外国人旅行客の免税品売上などインバウンド効果もあるのですが、衣料品の不振をお店によってはなかなかカバーできない状況。
なぜこれほどまでに衣料品が振るわないかというと、大きな理由は選択肢の多様化です。
昔は、衣料品を買うとなると、真っ先に選択になるのが百貨店という時代がありました。
しかし今はどうでしょうか?
特に若い世代だと、なかなかまず百貨店に行くという人は少ないはずです。
今の時代は、ネット通販、ファストファッション、フリマアプリなど選択肢はますます増えています。
ZOZO TOWNやSHOPLIST、ユニクロやZARA、メリカリなどとにかく選ぶのに困らない状況です。
今後ますます選択肢の多様化を進んでいくでしょうし、「アパレルの購入なら百貨店」というイメージは消え去ろうとしています。
大手百貨店は旗艦店に資源を集中
百貨店不振といわれる中で大手百貨店は、インバウンド需要や富裕層の旺盛な消費に支えられ一時期の不調を脱したようにも見えます。
ただ足元では不採算店舗の閉店などのリストラをすすめており、旗艦店に資源を集中する動きが見えます。
衣料品などのアパレル関連商品があまり売れなくなっていますが、百貨店のデパ地下はまだまだ好調です。
休日のデパ地下に足を踏みれると、まるで混み合う電車に乗っているようなイメージにもなるぐらいたくさんの人で賑わっています。
特に都心のデパ地下は、仕事帰りなどにも利用できますし、豊富なテナントによって人気になっています。
今、百貨店に行く動機で一番なのがデパ地下の利用という人が多く、デパ地下しか行かないという人もかなりいるのではないでしょうか。
百貨店も時代のニーズを汲み取り、なんとか生き残ろうとしていますが、先行きは明るさがなかなか見えない状況です。