大阪で現在行われている再開発で、最大級の規模で、しかも話題性の大きなプロジェクトといえるのが「梅田1丁目1番地計画」です。
この計画は、「大阪神ビルディング」と「新阪急ビル」を解体して、一体的に再開発を行っています。
2011年に成立した「改正都市再生特別措置法」に基づく特例によって、道路の上空に通路ではなく建築物を建設できる規制緩和によって、今回の2つのビルの一体的な再開発は実現しています。
土地の高度利用活用として優れた事例で、今後同じような事例が広がっていけば、さらに面白い再開発プロジェクトが増えていきそうです。
「梅田1丁目1番地計画」の概要
「梅田1丁目1番地計画」は、「大阪神ビルディング」と「新阪急ビル」という2つのビルを解体して、一体的に再開発を行う巨大プロジェクトです。
阪神と阪急、昔はライバル関係にあった両者が「阪急阪神ホールディングス株式会社」として経営統合されたからこそ、可能になったプロジェクトだといえるでしょう。
阪神間を走る同じようなエリアの鉄道会社の経営統合は、その効果があまり高くないのではないかという当時の見方もありました。
しかし、こんなところで経営統合の効果が出てくるとは、分からないものですね~。下の表を見るとその一体開発の効果がよりわかります。
解体前の「大阪神ビルディング」があった場所の敷地面積は、約7,300㎡ 。容積率など建築規制をそのまま当てはめると、それほど巨大な超高層ビルは建てることは難しいです。
また、「新阪急ビル」は、さらに敷地面積が約4,100㎡と狭く、規制そのままだとさらに中途半端なものしかつくることができません。
ただもっと問題なのは、お互いのビルの間には道路があり、別会社という以上の一体的な整備の壁が立ちふさがっていました。
両ビルを解体して一体的にひとつのビルを整備できたのは、2011年に成立した「改正都市再生特別措置法」に基づく特例があるからです。
規制緩和によって“公道をまたぐ”ビルが日本で初めて誕生
既存の道路上空の空間は、建築基準法で連絡通路などを除き建築物をつくることが禁止されています。
しかし、2011年に成立した「改正都市再生特別措置法」の特例によって、大都市のごく限られたエリアに限っては規制緩和が認められました。
今回のような既存の道路上の有効活用をできるのは、「特定都市再生緊急整備地域」のみで、大阪の梅田駅周辺は、この特定都市再生緊急整備地域に入っています。
そのため、規制緩和によって公道をまたぐビルが誕生することになったのです。
完成イメージはこんな感じで、百貨店に超高層のオフィスビルが乗っかっているような感じです。
目の前の阪急百貨店と合わせて、「阪急阪神ホールディングス」や「エイチ・ツー・オー リテイリング」のシンボル的な存在になっていくでしょう。
「梅田1丁目1番地計画」の建設状況の様子
「梅田1丁目1番地計画」の建設状況の現在の様子です。
タワークレーンです。この部分は超高層にはならないエリアです。
「梅田1丁目1番地計画」は、阪神百貨店を営業しながら工事期間を分割して以下のように進められて行くことになります。
現在は1期工事部分、つまり旧新阪急ビルと大阪神ビルディングの東側部分の工事になります。
百貨店の建替工事の難しさは、既存店の営業を継続しながら工期を分けて行われる点があります。
阪急百貨店も現在のビルに建替をする際には、旧ビルを半分ずつ解体して、工事を進めなければならず難しい工事を強いられました。
何より売場面積を大幅に縮小しなければならず、梅田の店舗は旗艦店になるので、売場面積縮小はとても大きな影響があります。
今回の阪神百貨店の場合は、売場面積の縮小は約4割ほど減らしてはいますが、それでも建替の影響を最小限に抑えているといえるでしょう。
この辺りも新阪急ビルとの一体開発ができた効果ともいえますね。
西側部分では阪神百貨店が元気に営業中。今年は阪神タイガースも優勝を狙えそうで、優勝セールがあるかもしれません。
さらに全体が見えるように。2期の超高層ビルが建設されるのが楽しみです。
建築計画です。
東側から撮影。中央の少し低くなっている部分が公道上空部分です。
新阪急ビルがあった部分です。どことなくデザインが阪急色が出ているような。
中央付近に道路が通るように空間ができているのがわかります。
道路は市道になるので、大阪市には上空の利用料が入るはずです。使っていない上空によって、自治体の収入になることもメリットになります。
「梅田1丁目1番地計画」は、いろんな意味で注目のプロジェクトです。今後も定期的に状況を確認していきます。
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[…] 「梅田1丁目1番地計画」の建設状況 2つのビルの再開発を一体的に整備した空間 […]
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