一級建築士は建築資格の最高峰で、あらゆる建築物の設計や工事監理を行うことができます。
木造建築士や二級建築士と違って、取り扱える業務の範囲に制約がないのが一級建築士の魅力です。
日本は高齢化社会に突入をしていますが、実は登録をしている建築士の平均年齢も上がっています。20代の若い建築士が圧倒的に不足をしているのです。
一級建築士の受験資格を得るためには、長い実務経験が必要で、計画的に資格取得を目指す必要があります。
Contents
一級建築士試験の受験資格
一級建築士試験の受験資格は、建築士法によって細かく規定されています。
さすがに建築関連資格の最高峰だけあって、受験資格を得るだけでも大変です。たとえ大学の建築学部を卒業したとしても、実務経験がなければ受験資格はありません。
例えば、将来のことを深く考えず、文系学部を卒業して、営業の仕事に就いて、その後建築士を目指すということになれば受験資格を得るためには大変な苦労が必要になってきます。
一級建築士を目指すのなら、できるだけ早い段階で受験資格を得るための近道を確認しておきたいところです。
一級建築士試験の受験資格は、以下のように入学年度によって異なりますので、実務経験がどれくらい必要なのかが確認できます。
平成20年度以前入学者の場合
学歴 | 実務経験 | |
大学を卒業した者 | 建築課程または土木課程 | 卒業後2年以上 |
3年制短期大学(夜間部除く)を卒業した者 | 卒業後3年以上 | |
2年制短期大学を卒業した者 | 卒業後4年以上 | |
高等専門学校を卒業した者 | ||
二級建築士 | 二級建築士として4年以上 | |
その他国土交通大臣が特に認める者 | 所定の年数以上 (建築設備士の場合は、建築設備士として4年以上) |
平成21年度以降入学者の場合
学歴 | 指定科目の単位数 | 実務経験 | ||
大学、高等専門学校(本科+専攻科)、職業能力開発総合大学校(長期課程または応用課程)、職業能力開発大学校(応用課程)、職業能力開発短期大学校を卒業した者 | 60 | 卒業後2年以上 | ||
50 | 卒業後3年以上 | |||
40 | 卒業後4年以上 | |||
短期大学(就業3年以上)を卒業した者 | 50 | 卒業後3年以上 | ||
40 | 卒業後4年以上 | |||
短期大学(就業2年以上)、高等専門学校(本科のみ)、職業能力開発総合大学校(専門課程のみ)、職業能力開発大学校(専門課程のみ)、職業能力開発短期大学校を卒業した者 | 40 | 卒業後4年以上 | ||
専修学校を卒業した者 | 専門課程で修業4年以上 | 60 | 卒業後2年以上 | |
専門課程で修業3年以上 | 50 | 卒業後3年以上 | ||
専門課程で修業2年以上 | 40 | 卒業後4年以上 |
一級建築士の高齢化
一級建築士の高齢化が顕著になっています。
建設・土木業界自体が若い人から就職先としてあまり人気がなかったり、一級建築士試験が昔はあまり難しくなかったので、ガラッと難易度が高い試験になったのが原因ともいわれています。
少し古いデータになりますが、平成17年度の一級建築士の年代別の登録状況があります。もっと新しいデータを探したのですが、見つかりませんでした。
- 20代が約2,000人
- 30代が約47,000人
- 40歳代は約66,000人
- 50歳代は約101,000人
- 60歳以上が約106,000人
平均年齢が56.2歳でとても高いという結果になっています。
ちなみに平成28年9月30日現在の一級建築士登録状況は、363,530名になっています。平成17年度と比べて増えています。
しかし、一級建築士試験の学科試験の合格者の平均が平成28年度のデータで約33歳。自営での建築士が定年がないことを考えれば、それほど若返りははかられていない、もしくはもっと高齢化が進んでいる可能性もあります。
一級建築士試験の受験者数自体が減っている
一級建築士試験の受験者数が減っています。
例えば2000年辺りは、50,000人程度だった学科試験の受験者数が現在は30,000人を切っています。おおまかにいっておよそ半分ぐらいになっています。
一方学科試験の合格者数はというと、多少少なくなっている程度で半分にはなっていません。つまり、年度によってバラツキがあるものグ~ンと合格率は上がっているので。
建築という仕事は、需要が減ったとしても絶対生活に必要な仕事です。そのため国としても、一定数の建築士は必要なのです。
今のような高齢化が続けば、建築士不足の抜本的な解決にならず、国も建築士の若返りを試みています。
一級建築士試験は努力すれば合格する試験
ネットの情報で、一級建築士試験は超難関になったという情報もあります。中には医者と同じくらいの評価もあります。
たしかに受験資格を得るのも大変な試験ですが、受験資格さえ得ることができれば、学科試験は過去問学習中心で合格ができる難易度です。
けっして司法試験や公認会計士ような桁外れの高い難易度ではありません。
それだけに、受験資格をできるだけ早い段階で得ることが大事になってきます。
一級建築士試験試験を早めるために建築学部への入学をイメージするかもしれませんが、土木系や文系的な一部の学部で建築過程を学ぶことができ、一級建築士試験の受験資格を得る近道になる場合があります。
[…] […]
一級建築士を、取りやすくするという動きがありますが、今までに苦労して取得した資格の値打ちが下がってしまいます。そこで、例えば高さ30m未満、床面積3000㎡未満までと制限を設けた準一級建築士などのカテゴリーを新設して取りやすくすればと思います。
建築士勉強中 さま
コメントありがとうございます。
苦労して取得して資格の価値も考えて、新たなカテゴリーというのは良いかもしれませんね。
能力を担保する意味でも、取得しやすくするのも問題もありますから。